北又谷も雪渓敗退

お盆休みは北又谷に入ったものの、またもや予想外の雪渓に引き返してきた。
敗退ではあったけれど今回もいろいろと良い経験ができ(もう2度と経験しなくても良いこともw)、
短時間でとても濃密な敗退沢となった。
(北又谷(きたまただん)の読み方は聞くまで知らなかった)

【13日】
9:30越道峠~10:20下降点~11:25北又谷~12:25魚止滝~14:20大釜淵~15:10又右衛門滝~17:20雪渓~18:30恵振谷出合
【14日】
3:30増水~7:50ルンゼより高巻き~10:00裏定倉沢の二俣~11:40登山道~12:50越道峠
(4名、8mmx40m、40mフローティング、スモールカム他)

越道峠への道ではメジロの歓迎を受け、防虫ネットがあると助かる。
越道峠からは良く整備された登山道が続いていたので地形図を見ながら歩けば下降点で迷うことは無かった。
20150813kitamata01

小一時間下降するといよいよ北又谷へ降り立つ。
苔の感じから水量は平水より随分と少ない感じだった。
これは遡行しやすいかも、と思うと同時に雨量が少ないとなると雪渓が融け残っているかもと云う不安もよぎる。
水は冷たいが、少しへつったり泳いだりすると最初のボスキャラ魚止滝が登場。
20150813kitamata02

ここは登攀隊長IMR氏が惜しみなく実力を発揮して突破してくれた。
先ずは第一関門クリア、と思ったらこの先も簡単では無く要所要所でロープを出したり小さく懸垂をしたりして進む。
20150813kitamata03

時間を掛けつつ進んで行くと次のボスキャラ大釜淵へが出てきた。
泳ぎ隊長のーるがトライしてみていい?と志願し、躊躇無く泳ぎ出してあっさりとカンテ上で上がって行った。
最初は反転水流に乗るのですぐにカンテへ泳ぎ着き、目の前の白濁した水流まで入らぬように気を付けながらカンテを探るとガバがあり上がれるのだった。
20150813kitamata04

少しの間は難しい場所も無く、恵振谷との出合まで来ると水量が減るのでまた少し安心する。
しかし、その出合にかかる又右衛門滝は難敵だった。
巻きに入る前に1回だけトライしてみることになったのだけど跳ね返されてしまった。
水から上がるのはガバがあり難しくは無いが、少し上がったところでホールドが悪~くなり、借りたスカイフックを試してみるも外れて釜へドボンで終了。
20150813kitamata05

少し迷ったものの、左岸のカンテ状から木登りで進むと何となく踏み跡があり巻き開始。
ハッキリしない巻き道を時間を掛けて進み、最後は古い捨て縄が沢山ある木より2ピッチの懸垂下降で沢床へ。

そして急流の長淵は4人いれば縦列で突破して幕場まで行けるだろうと少々楽観視した矢先だった。
先に増して水の冷たさを感じるようになり、前方にあのおどろおどろしい白い靄が立ちこめているのが目に入ってきた。
又右衛門沢からの雪が溜まったのだろうか、嫌な予感通りに巨大な雪渓がゴルジュを塞いでいるのだった。
20150813kitamata06

雪渓下の流れを縦列で突破すれば越えられるかも?等と話していた矢先、雪渓の先で岩が崩れ落ちる音が腹にまで響いてきた。
ここで雪渓が出るならこの先も、との判断もあり危機感を感じて撤退を決定。

クライムダウン、懸垂下降、釜へのダイブ等を駆使し、夜の帳が降りる前に何とか恵振谷の出合まで戻ってくることが出来た。
漸く幕場を作れる地形まで来たので一安心して土木工事を開始。
岩の上に2人ずつ分かれるか、ちょっと芳しくは無い感じだけれど水面から数十㎝くらいの河原を整地するかとなり、
そんなに増水することも無いだろうと後者を選択。
撤退が決まっているので軽量化の為にも?酒や食料を多めに消費して遅くまで宴会をしてから就寝した。

ぐっすり寝入っていた深夜、沢の上流遠くよりゴン、ゴンと響くようなものが聞こえてきた気がした。
雪渓が崩れている音だったら嫌だなあと、うつらうつらしつつまた寝入ったところだっただろうか。
「水が来た~!!、荷物を纏めて逃げろ~!!」と声が聞こえて飛び起きる。
最も熟睡していた自分が最後に目を覚まし、慌ててヘッドランプを探して脱出開始。
絶対に安心の幕営地とは考えていなかったこともあり、荷物はなるべく纏めてあったことは幸いした。
沢靴から最初にザックへ詰め込み、水浸しの中をすぐ先にあった岩の上へ荷物を移動。
更に高い場所へ避難して夜明けを待つことになった。
空が白む頃には水も引き始め、流されたと思っていたものも殆ど回収することができた。
最終的にはパーティーで沢ズボンとプラティパスが各1ずつ流失してしまったが、重要なものは何も無くさなかったのは幸いだった。
水がある程度は引いたところで撮った写真、もし最初からこんな水位だったらここを幕営地には選ばないけどね。
20150813kitamata07

タープを張り直してからゆっくり朝食を取り、退路の相談。
入渓で使った登山道が初雪山まで続いているそうなのでここを目指すことにした。
運良く幕営地は右岸なので近くのルンゼを上がり、定倉山へ向かわないように傾斜の緩い800m~850mの標高帯でトラバース、
裏定倉沢の2俣より1097mピークを目指して傾斜の緩めな尾根を上がる計画。

まだ日程にも余裕があるので気分的にも楽に出発。
雨に降られたりもしたが、目指す2俣を早めに目視することが出来たのもあり、予定通りに裏定倉沢の2俣へ20m懸垂下降で降り立った。
泥壁をバイルを刺して少し上がると灌木の続く尾根が始まり、何となく踏み跡っぽいものが出てくる。
更に登って行くと、山道の目印に使うピンクテープが現れた。
どうやら地元の人がこの尾根を釣か何かの為に利用しているらしいのだった。
あとはテープと踏み跡が続き、お昼前には目指していた1097mピークの手前を横切る登山道へ出ることが出来たのだった。
15時半前には小川温泉の駐車場へ戻り、下界で温泉から打ち上げへの流れと云う幸運。

1つ1つの出来事が強く印象に残ることばかりで週末の沢くらいの間に起きたこととは思えないくらいだった。
沢としては敗退だったけれど強力して突破し、撤退し、脱出した思い出深い時間だった。
ありがとうございました。
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北又谷行ってきました

はじめまして。栃木在住のtakeshiと申します。
北又谷ですが、8/8~10日の日程で相又谷下降コースで行ってきました。最初の雪渓で敗退をご判断された通り、結構雪渓は多かったです。初日はミズカミ沢手前まで、ご覧になった雪渓(上から行きました)と、すぐ先に小さな雪渓があっただけですが、漏斗谷から先は頻繁に出てきました。(リンクURL参照)
大方潜りましたけど、ロシアンルーレット的な要素もあっただけに、引き返したご判断は正解だったと思います。

Re: 北又谷行ってきました

もしかしてひろたさんご本人ですね!?
始めまして、東京都の山岳会で活動しておりますshousukeと申します。
その空の下で。。。はいつも拝見させて頂き何度も参考にさせて頂いております。
今回の北又谷の記録も同行者からアップされている旨教えて貰い早速読まさせて頂いてました。
今年は雪渓が多く本当に大変だったようですね。
我々が雪渓の前に立ったのが17:20、記録を見て引き返して正解たっだとしみじみ思いました。
深夜の増水にも酷い目に遭いましたが雪渓の少ない年にまた挑戦したいと思います。
これからもtakeshiさんの素晴らしい沢の記録を楽しみにしています。

ありがとうございます。

こちらこそ、今後とも宜しくお願いいたします。
良い沢旅を・・・
from「その空の下で。。。」
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まによん

Author:まによん
晴れた日のアウトドアが好き。
猫を見るとちょっかい出そうとする。

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