8月11~15日で朝日連峰の八久和川へ行ってきた。
【今回のコースタイム】(3名、雪渓無し、渇水、ラバーソール)
※滝の記述は豊野さんの朝日・飯豊連峰の沢より
8月11日
7:30出発~13:00二松ココ下ル(赤テープも)~15:00カクネ沢~16時過ぎに三百間沢手前で幕営
8月12日
5:30起床~8:05出発~河原歩きとゴルジュ遊び~14:55平七沢(出合すぐ下で幕営)
8月13日
5:30起床~7:50出発~10:10長い巻道部をゴルジュと滝で通過~11:25コマス滝見学
~11:50巻き終り~13:45呂滝~13:55巻き終り~湯ノ沢のとこは水線沿い~16時くらい幕営地決定
8月14日
5:00起床~7:10出発~7:30西俣沢出合~7:40東俣沢出合~8:20、15m滝(左側直登で大高巻き回避)
~9:35、2段7m滝巻き~10:05懸垂する巻きの滝~11:15悪い巻き終り~12:00巻きの先のガレたルンゼ
~12:20連瀑~12:40巻きと登りで連瀑終了~12:45、2段12m滝(トポと違い右から巻き、早めに懸垂下降で沢へ)
~14:30登山道
8月15日
4:00起床~5:30出発~7:15以東岳(※電波が入るのでタクシー予約)~9:15鳳小屋~11:20泡滝ダム~12:25駐車スペース
自分の仕事の都合で22時発と遅くなってしまい、3人で運転と仮眠を交代しながら東北道をひた走り、未明に庄内あさひICそばのコンビニへ到着。
駐車スベースには先行2人パーティーの車が1台あるのみ。
車のドアを開けても排ガスに集まって来るメジロアブの姿は無く一安心した。
少しだけ仮眠をとってから準備を整えて出発。
消えかけの林道を歩いて、と思ったら本当に踏み跡だけになり、それも薄くなっていく。
何度か踏み跡を見失い、探し彷徨いながら進むことになる。
平坦な場所だけで無く崩れそうな場所を進んだり、尾根をどんどん上がって行ったりと全然良い道では無かった。
二松沢もなかなか辿り着かずにひたすら汗だくで歩き続け、この行程の長さにもう先が思いやられる。
漸く二松で沢に下りたところでもう対岸へ入る気が無くなり、沢を遡行していったが渇水のためか悪い場所も無い。
カクネ小屋跡を見たいとカクネ沢より上がってみるものの、ブルーシートやらが落ちているだけで何だかパッとしなかった。
暫く薄い藪を歩いてからまた川へ戻り、三百間沢手前の適当なポイントを見つけて幕営することにした。
天気の心配は無かったけれど、下流部なので増水しても慌てないで済む、一歩林に上がった場所に決定。
今年は虫が少なめなようだが、夕方はアブが纏わりつくし、明け方には防虫ネットの向こう側に無数の蚊が飛んでいるのを認識して目が覚めた。
初日の寝不足があったので2日目はゆっくりと始動。
この辺りについては他の記録でも記述が少ないが、まあ確かにそうなる。
泳いだり、へつったり、ゴーロを歩いたりとあるが標高を上げていかないので滝も無く透き通る緑の水で遊びながら快適に進んで行く。
平七沢の手前の奥まった場所に整地された快適なビバークポイントがあったので迷わず幕営地決定。
タープ設営後に平七沢へ食糧調達へ行っていたimrさんがニコニコしながら走って来たと思ったら、何か慌てた口ぶり。
どうしたのかな?と思ったら何と熊が10mくらい手前にいて慌てて逃げてきたのだった。
まあ熊はともかく、ここの河原はとても気持ち良く、皆でブルーシートとマットを敷いて焚火の熱を感じながら満天の星空を眺めた。
見上げた空はペルセウス流星が音を立てるように長い尾を引いて流れ、ISS?と思われる強い光が星の中を滑るように横切って行く天体ショーだった。
3日目も快晴
ゴルジュと滝が現れるが水が綺麗で冷たくも無く、朝からテンションが上がっていく。
1時間ほど歩くと新しい焚火跡があったので、1日先行しているパーティーはここに泊まったのか。
トポに長い巻道とある淵へ着いてみると、何だか行けそうな感じだったので入ってみることにした。
ダメなら流されて戻って巻けばいいやと思いつつ泳いで登って、先が開けて明るくなったときは嬉しい。
巻道の降り口には褪せた赤布が下がっていたけれど、踏み跡らしきものは判別できないくらいぼやけていた。
このまま行けるんじゃない?と思いながら進んで行くと、コマス滝は、登れるようには見えなかった。
迷いながらではあったけれど、2ヶ所くらい赤テープに導かれて無難に巻けた。
呂滝も無理だったので暫く休憩してからまた高巻き。
次の巻きは行けそうならと行ってみるパターン、泳ぎと見た目以上に快適な登りで抜けることが出来た。
小尾根まで巻き上げられるのを回避出来たのでこれまた嬉しい。
ここから先は狭いゴーロと岩に囲まれた綺麗な渓相が続き、良い幕場がなかなか見つからない。
候補地を見つけつつ先へ先へと進んで行くと、不意に現れた台地の上の草原に平地が見つかった。
過去にビバークした人の古い小さな痕跡が残っていて、スラブと尾根に囲まれた高台の景色の良い場所。
今日も心地良い疲れと満天の星空に、沢音と焚火の揺れる炎、贅沢な時間。
4日目もまだまだ快晴
そろそろ水量も減ってきたと思っていたところに釜やらゴルジュやらが現れて予想外に泳がされまくる。
進むと直ぐに西俣沢と東俣沢が分かれ、中俣沢へと入っていく。
ここから渓相は一気に沢旅から滝を登りまくる沢へと急変してきた。
次々と現れる釜を泳いだりしつつ滝を登って登って、大高巻きは15m滝をimr氏の登攀力で突破して回避。
しかし登れない滝の高巻きは結構な緊張を強いられたり、懸垂下降もしたりと疲労感が増してくる。
遠目でヤバそうに見えた連瀑は、近くで見ると意外に傾斜が緩く見え、登れなくても巻けば行けるのが分かる。
ブッシュまで上がってトラバースと記載がある滝は、見た感じから逆の左岸より巻いても悪くは無かった。
まあ少し早めに戻ろうとして懸垂下降を入れることになったけれど。
この滝をクリアすれば空も心なしか解放感が出てきて緊張が緩んでくる。
そして沢はとうとう源頭の様相を見せるようになってきて、最後は藪漕ぎも無く、突然見える小屋と登山道で終りとなった。
今日の小屋はとても混んでいるそうで「10人もいる」と言っているのが聞こえた。
とても立派な小屋なので10人もいても広々と使えたのだけど。
管理費として\1500を支払い、物は何も売っていないけれどビールだけは\800でゆずりますとの看板と共に水場の所で冷えていた。
小屋番さんが不在で無くて良かったと思いつつ外で乾杯したのだった。
5日目は曇~晴
午後から天気が崩れる予報だったので遅くならないように出発。
緩やかな稜線に咲き乱れる花と夏の朝の風、疲れているのだけれどもこのまま歩き続けて行きたい。
以東岳のピークからは携帯の電波が入るのでタクシーの予約は忘れずに。
標高を下げるにつれ、夏の暑さは増してきて汗がダラダラと流れる。
それでも大鳥池がまた良いところで、ああここでも泊まって行きたいと思ったりして。
タクシーへ伝えた時間より少し遅れてしまったので急いで歩いて昼前には下山。
荒れた道をタクシーで入って頂き無事に車まで戻ることが出来た。
タクシー料金は回送料もあるので2万はしないけれど、それなりに掛かる。
そうそう、戦艦は見たけれど場所は秘密。
5日間をかけて沢では誰にも会うこと無く歩き続けた、川から源頭までの沢旅。
コンディションに恵まれ、あっと言う間に過ぎたとても長い時間でした。
ありがとうございました。